【PA座談会 前編】~こんなことや あんなこと 聞きたかったんや!!~


「MOSAiCの音ってめっちゃいいいよね~」
「初めてMOSAiCに出演したけど、とてもやりやすくてビックリした!」
「PAさんのおかげで、曲が数倍良く聴こえた!」

な~んてことを、お客さまやバンドさんから言って頂けることもしばしば。
MOSAiCのPAさんは、多方面でもバリバリ活躍しているベテランのオペレーターさんばかり。
昨年PAとして独り立ちした柳も、そんなベテランPAさんから今もいろんなことを学んでいる最中だ。
10年以上のキャリアを持つ3人の職人たち。
彼らの並々ならぬ努力とその匠みの技が、今日のMOSAiCを支え続けていると言っても過言では無いわけです。

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MOSAiC PA陣
写真左から:日置麻子 / 柳奈津弥 / 鈴木大介 / 井村幸彦

さて今回の【PA座談会】では、MOSAiCのPAとして活躍して頂いてる日置氏、鈴木氏、井村氏の3名をお招きし、MOSAiCのPAスタッフ柳を含む計4名で開催したいと思います!
普段聞きたくても聞けない ”あんなことや こんなこと” という質問内容を、MOSAiCに出演しているバンドさんやお客さまたちのご協力により沢山頂戴致しました!!
みなさんご協力ありがとうございました!!

前編・中編・後編に分けてお送りする今回の座談会ですが、前編では主にPAさんの音に対するこだわりや、リハーサルに関するQ&A、そしてバンドさんへの中音作りのアドバイスについて語って頂きます!
それではさっそく行ってみましょう!


其の一【音量やバランスに関して】

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鈴木「音に関してはバンドがそれぞれ作ってるCDが、ある意味正解だと思ってる。それがバンドの理想形だと思う。」

質問①-ライブハウスにおけるライブで、歌はどの程度聴こえているのが正解だと思いますか?
CDと同じぐらい聴こえてほしいと思ってるのか、それともライブだとそれより小さくても良いだろうとか。
あと、シンプルに全体の音量も、正解はないと思いますが、こういうバランス、音量感が好きっていうのを聞きたいです。

日置「これはバンドによるしジャンルにもよりますね。歌モノだったらCDくらい歌を出したいです。バンドのサウンドを強く出したいのであれば、ボーカルも出しつつ限界までバンドサウンドを上げて迫力を出す努力をします。大きいスピーカーで鳴らしてる分、やっぱり迫力あるのがライブですもんね。」

井村「お客さんがどのような目的でその場にいるかによって判断します。たとえばCDのように綺麗に音楽を聴きたいお客さんも居れば、そんなことは関係なく暴れ倒したいんだっていうお客さんも居たりするわけですし、もちろんジャンルにもよりますが、お客さんが何を求めているのかを意識しながら、音のバランスを取るようにしています。」

鈴木「ぼくの持論としては、バンドがそれぞれ作ってるCDがある意味正解だと思ってるんですよ。それがバンドの理想形なんだと思う。それを忠実に再現したいというのもありますし、やっぱりライブなんでもっとライブ感を出すためにプラスアルファで迫力も付けたいというか。たとえば音圧で肌に感じるものとか、ローがお腹に”ズンズン”くる感じとか、CDやイヤホンで体感出来ないような迫力を出すのがぼくの理想です。そしてどんなジャンルでもやっぱり歌は出来るだけ出したいし、歌詞は聞かせたい。元々CDって歌詞がちゃんと聞き取れますもんね。」

森本「あとはバンドさんとコミュニケーションして、どう聞かせたいかっていう意見交換も大切ですよね。」

鈴木「井村さんが言ったように、ライブの時にバンドがどうしたいのか、お客さんにどう聞かせたいかにもよりますね。我々はその意見を汲み取りつつ、例えば、”MOSAiCだったらこういうサンドが良いんじゃない?”という風に、音の提案もして、一緒に考えていきたいです。」


其の弐【リハーサルに関して】

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日置「リハーサルでは、1曲目を最後にやって欲しいんです。」

質問②-外音を確認して注文する際に、気分を害されるPAさんが少なくないように感じます。とうすれば気持ちよくリハがすすめられますかー?
また、リハで外音を聴きにフロアに出てくるバンドマンに、信用しろよ、って思ったり、腹が立ったりしませんか?

井村「腹は立たないです(笑)外音をメンバーさんがバランスを聞いていて、そこで音量が小さいから単にアンプで上げるのではなく、”ちょっとギターが小さいと思うんですけどPAさんどう思います?”というふうに相談とかしてくれると嬉しいですね。リハーサルは短い時間ですが、こちらからもコミュニケーションを取ることは忘れず、一緒に作っていきたい気持ちです。」

日置「外音に関しては、他のメンバーが全体の音を聴きに行くのは良いことだと思います。ボーカルさんが歌いながら外に出てくると、そのマイクでスピーカーの音も拾っちゃったりするんで、あまりオススメは出来ないんですけど。」

鈴木「外音のバランスを聴いてもらうのは全然いいです。ただしどうしてもお客さんが入ると音の状況というのは絶対変わりますんで、そこは踏まえて欲しいです。ただ外音に関して、バンドさんのイメージとか希望は必ずあるハズなんで、遠慮せずに、”ぼくらはこうしたいです”っていうのがあればぜひ話して欲しいです。バンドがその日どの対バンよりも勝ちたい気持ちは分かるし、ぼくもそこに応えたいので。」


質問③-リハで外音を聞いてて意見を言う時に、要望をうまく表現できず、いつも申し訳ないと思ってます。本当は楽器と帯域を指定して、上げ下げの意見を言えたらなぁと思うんですけど、なかなか難しいです。要望をうまく伝えるために、PAさんではなく、バンドやバンドスタッフ側が努力すべきことはありますか?

柳「なんていい人なんでしょう!」

井村「そこは抽象的に言って頂ければ問題無いです!」


質問④-リハ時間でPAさんが具体的にどのようなことを確認しているのかを、アーティスト側が事前に知ることも大切だと思います。
中にはリハ時間を自分たちの練習時間だと思われているバンドもいらっしゃいそうなので…

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井村「ぼくはリハーサルは、その日の本番をスムーズに進めるためのものだと思ってるんで、曲いっぱい聞かせて貰えるのは嬉しいんですけど、次の曲の繋ぎとか演出的な部分をやって頂けると有難いですね。」

鈴木「初見のバンドであれば、やっぱりそのバンドのテイストをまず確認しながらバランスを作ります。あとは井村さんが言ったように、その日のセットリストの進行の流れであったり、SEからの流れも確認したいです。」

日置「リハーサルではワンコーラスずつやってもらうのが有難いです。あとこちらの都合ではあるんですが、リハの最後の曲がそのバンドの最終バランスになるんで、リハの最後を1曲目にして貰えると本番で変わらず出しやすいんです。なのでセットリストの1曲目を、最後にやって頂けると有難いですね。もちろんこちらからもそのようにお願いするようにしています。」


質問⑤-サウンドチェック時に、PAさんが「よろしくお願いします、キックの音からください」などと言わないと、各々がずっと音を出してるバンドさんがたまにいます。個人的には「このバンドいつまでもうっさいなー」などと思いますが、PAさん的にそんなバンドさんにはどういう事を思いますか?

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日置「その時間が短いほどリハが長く出来ますもんね。ただ私はバンドさんが各々音を出してる時間がとても大事だと思ってまして、あんまりこっちでストップしないように意識はしています。バンドさんが音を出してる時に私は音を録っています。ただ理想を言えば、音作りは2~3分くらいでパっと作ってもらって、”じゃあ曲でお願いします”っていう流れだとスムーズで良いですね。」

鈴木「例えばドラムのパーツの音ををこちらが調整してる時に、横でギターを弾かれたりすると細かい音が分からなくなっちゃうんでそれは困ります。」

森本「それは”タムの音からください”とか”ベースさんの音をください”とか言ってる時ですか?」

鈴木「そうですね。単音チェックをしてる時に他の楽器は鳴らさないで欲しいですね。サウンドチェックが始まったら、そういうところは意識を持って欲しいです。」


■其の参【中音作りに関して】

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井村「MOSAiCのステージはすごくデッドに作ってある。だからローを感じにくい。」

質問⑥-MOSAiCだと低音が回ってしまって、ベースの音作りが自分の納得いくものにするのが難しいです。どうすればいいですか?

井村「MOSAiCのステージの中はすごくデッドに作ってあるんですよ。吸音材が貼ってあって響かないからローを感じにくいのかも。もしかしたらMOSAiCだと、ベーシストさんは少し物足りない環境に感じるのかも知れないですね。」

日置「そうですね。だからアンプで音量を上げたくなるのかも知れないです。ただそうなると中音はスッキリしている状態であっても、外音で音が回ってしまう可能性もあるんですよね。アドバイスとしては、ベースアンプと近い距離で音を作るのでは無く、外で生音の感じを確認して頂くのが良いかも知れないですね。PA側で音を出す前に、ステージを降りて生音を確認して頂ければ多少は音の作り方も変わるかも知れないですね。」

森本「つまりMOSAiCの場合、ベーシストはステージの外で音を作ったほうが良いってことですか?」

日置「近くよりかは外で作ったほうがいいかも知れないですね。外で回ってなければOKだと思うんです。ベースアンプは基本的にスピーカーが8発もあって、遠くに音を飛ばすように作られています。なので近くで音を作るよりも、外で音を作ったほうが良いのかも知れないですね。」


質問⑦-ベースの音に関して、最近中で低音が回っちゃうので、150くらいから下の方は積極的に切っちゃって、硬めの音でアンプで作っています。
それは本意ではないので「外で低いとこ足りなかったら、いい感じに足しておいてください」って言うようにしてるんですが合ってますか??
もし言わなかったら、こーゆー音が好きなんだなーでそのままな感じにされちゃいますかね?あと実際そういう時に外の音で低いとこが足りなくてPAさんの判断で足す時っていうのはあるものなんでしょうか?

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鈴木「こちらから提案する時もあります。ただケースバイケースな部分もあって、”こういう音がこの人のスタイルなのかな”って思っちゃう時もありますね。」

森本「じゃあメンバーさんはパートに限らず、細かくPAさんと相談したほうがいいということですね?遠慮せずに(笑)」


質問⑧-MOSAiCのベースは、LINEの音だけ出してるんですか?

柳「MOSAiCの場合は、PAさんによってそれぞれですよね?」

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鈴木「ぼくはどっちも(ラインもマイクも)出してますね。」

日置「わたしは中音が凄く大きくなってしまった場合は、外はラインしか出してない時があります。」

井村「ぼくはベースアンプにマイクを立てないんです。さっきの話じゃないんですが、MOSAiCはベーシストさんにとって少し音が物足りないと思うんで、本番中に無意識にアンプで上げたい気持ちも分かるんです。なのでいちおうそういったことを想定しながら、ぼくはマイクを立ててないんですよね。」

森本「ぼくは下半身のマイクがいつもギンギンに立ってて、感度良好なんですよね。」


質問⑨-リハーサルと本番で音の質感が違うのは、やはりお客さんの服などが音を吸収したりするからなのですか?

鈴木「まさにそうですね。薄着だったり厚着の季節だったりすると音の吸われ方も多少変わりますし、動員が例えば30人と100人とでは明らかに人に当たる範囲も変わります。」

井村「バンドさんとしてはリハーサルでPAが出してる音も、音が回り込んでステージ上に聞こえてきてるんです。だけど本番になるとお客さんが沢山入って、服などに吸われて回り込みが無くなり、今度は聞こえなくなるんです。MOSAiCは床がコンリートなんで、とくに音の反射がすごいんですね。本番ではこの音の反射が無くなり、バンドさんからするとリハーサルと明らかに違う状況になるんですよね。」

日置「この対策としては、普段PAが外音を出して無い状態でバンドの中音をしっかり作っておく必要があると思うんです。そうすれば本番で音の聞こえ方が変わっても、あまり困ることは無いかと思います。あとは本番でバンドさんがどうしてもテンションが上がって、ついついリハーサルよりもボリュームを上げてしまったりすることもあると思うので、そこを気を付けるだけでも違うと思います。」


質問⑩-本番でリハよりもボーカルのモニターが小さくなった。それはボーカルの声量が落ちたのか。PAの問題なのか。

日置「まさにこれは先ほどの話じゃないですが、本番でまわりの音が大きくなってる可能性もありますね。」

井村「テンションが上がってしまうと、どうしてもストロークやピッキングも強くなりますもんね。リハと音量感が変わってるのかも知れないです。」


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鈴木「極論ですが、モニターから返すのはボーカルだけにするのが理想かも。」

井村「最低限バンドの中音だけで、演奏が出来る環境をつくっておく。」

日置「中音はアンプの位置がとても大事です。」

質問⑪-中音は極力小さくなるように、音量バランスを取るのは正解か否か。足りない部分はモニターで返してもらうのが良いのか。

井村「これはバンドさんにもよると思うんですが、モニターの無い状態で、なおかつバンドの中音だけで最低限演奏が出来るのであれば、ぼくはどちらでも良いかと思います。つまり最低限バンドの中音だけで、問題なく演奏が出来るのがベストだと思います。」

鈴木「極論になりますが、アドバイスとして中音のバランスを作る時に、モニターから返すのはボーカルだけにしてみて、それで演奏出来る環境を作っておくのが良いかも知れないですね。」

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井村「リハーサルスタジオの環境がだいたいそうですもんね。上についてるスピーカーからボーカルしか出さないですし。」

日置「わたしからのアドバイスとして、アンプの位置がとても大事だと思います。アンプを少し動かすだけで、きっと聞こえ方も変わると思います。」

井村「練習してるリハーサルスタジオで、アンプの位置とかアンプの向きを、極力ライブのステージと近い環境にして練習するのが感覚的に掴みやすいと思います。」

鈴木「唯一理解しておいて欲しいのは、バンドの中音がまだちょっとバラバラなのに、外音にいろいろ注文されてしまうと、”まず中音で何とかして欲しいな!”というのはありますね(笑)隣の人の楽器が聞こえないから、とりあえずモニターから返して解決するとか、自分の音が聞こえないからまたモニターで返して解決するとか、とりあえずモニターでなんとかしちゃうとかはね(笑)中音の作り方としては、ただスタジオに入って音出すだけじゃなくて、お互いにそれぞれの音や音量に関して意見を出し合うのが良いと思います。音作りや音量に関しては、メンバー同士でいろいろディスカッションしながらやって欲しいですね。」

日置「そうですね。各々が個人プレーにならないように心がけて欲しいですね。」

つづく。。。


いかがでしたでしょうか?
なかなか奥深い意見が盛り沢山だったので、ぜひ何かの参考にして頂ければ嬉しいです!

さて次回の中編では、アーティストさんからの要望に関して、または機材に関するQ&A、PAという仕事に対する思いなどに答えて頂きます!
近日中に掲載予定ですので、お見逃し無く!!


鈴木大介 / サウンドエンジニア
昭和57年5月14日生まれ / 栃木県出身
東放学園音響専門学校卒業後、六本木morph-tokyo、新宿Live FreakにてPAエンジニアとして勤務。
その後フリーランスを経て、有限会社ALLEXに所属。現在に至る。
【主な経歴】
青山テルマ・小南泰葉・LAGOON・Before Christ Butterfly・mil9・LOST ASH・S.H.E・DRAGON FACTORY FESTIVAL(徳島野外フェス)…など。


井村 幸彦/ サウンドエンジニア
昭和59年1月30日生まれ / 愛媛県出身
大阪スクールオブミュージック専門学校卒業。卒業後大阪の所要ライブハウス音響業務を運営している会社に所属。
400人キャパのホール型ライブハウスのチーフオペレーターとして勤務。
その後イベント系音響会社を経て、フリーランスに。現在に至る。
【主な経歴】
読モガールズバンドSilent Sirenの初期のエンジニアを担当。ジャンルを問わず様々なアーティストのオペレーターを担当し、現在はスパイがコンセプトのユニットWHITE SHADOWのエンジニアを担当。


日置 麻子 / サウンドエンジニア
昭和59年2月18日生まれ / 静岡県出身
東京スクールオブミュージック専学校卒業後、下北沢Cave BeにてPAエンジニアとして勤務。
その後退職しフリーランスに。現在に至る。
【主な経歴】
MOSAiC/club251/下北沢Cave Be/新松戸FIREBIRDにて外注PA
taffy、The nonnon、
THEラブ人間(2011〜2012.ARABAKI ROCK Fest/SUMMER SONIC/ROCK IN JAPAN/COUNT DOWN JAPAN等)


柳奈津弥 / サウンドエンジニア
平成元年8月2日生まれ / 長野県出身
日本工学院八王子専門学校卒業後→MOSAiCへ。


ライター / 森本真一郎
下北沢MOSAiC 店長 / Label Shiro 代表
昭和53年10月7日生まれ
【出身地】兵庫県出身
【血液型】B型
【趣味】なし
【特技】なし
【好き】お酒、鶏肉、美人、女性
【嫌い】レーズン